ヒートアップ

関戸明子さんの『近代ツーリズムと温泉』(ナカニシヤ出版、2007年)です。
温泉地が、だんだんと交通の発達によって、地元の人が長逗留する湯治場から、一般のはたらく人たちが利用する温泉宿になっていく変遷を、いろいろな当時の資料などをつかって論証しています。
なかでも、1920年代のおわりごろに、新聞社が拡販政策の一環として、温泉地の人気投票を企画すると、その地域の旅館組合などが一丸となって、組織票を呼びかける、それをその新聞も平然と報道して、あおっていく、という状況があったというのは、いかにも、日本のメディアだという感じがします。報道が過熱することで、いろいろと「ゆきすぎ」がおきるというのも、昨今の箱根駅伝ではありませんが、メディアのあり方として考えなければいけないのかもしれません。