けっこうさわやか

青山七恵「ひとり日和」(『文藝』秋号)です。20代はじめの女性が、アルバイトをしながら親戚の老女(71歳)と二人で暮らしている姿を描いた作品です。けっこうほのぼの路線というか、男の子との出会いと別れを淡々と描いています。
つきあいはじめるまでのときめきと、それが日常になってからの習慣化に耐え切れない姿というのが、ひょっとしたら、今の若い人たちの中にあるのでしょうか。むかし、宮台真司が「終わらない日常」などといっていたような記憶があるのですが、そうした日常に流されず、それを前向きに生かしていくことをしなければいけないのかもしれません。同居している老女が元気で、仲のよい男性もいるというのが、この世界のある点では救いで、そこに気がついた作者は、明らかに主人公を客観視しています。
そこが、読んでいて感じのよかったところでしょう。