隠させない

川村湊さんの『戦争の谺』(白水社、2015年)です。
戦後のいろいろな事象を分析して、表にでたものと、その陰に隠れているものをあぶりだそうとしています。ヒロシマナガサキをはじめとして、戦争の時代やそれをめぐる言説をみつけだしていきます。
戦争が終わっても、実際には支配階級はあの手この手を使って権力を守ろうとしています。もちろん、そこにはそれを支持する人たちもいるわけで、それは単純に民衆の感覚は善であるともいいがたいところも生みだしています。そこをどう考えるか、それがこれからの時代への課題なのかもしれません。第三者機関が〈合理性がない〉と評することが、多くの政党によって公約に掲げられ、議会内での多数派を占めているのも、現実なのですから。