陥る

三井秀樹さんの『琳派のデザイン学』(NHKブックス、2013年)です。
江戸時代からながれる琳派の表現の、日本的な特性を分析し、それがジャポニスムのかたちで西洋の美術工芸にどのようなインパクトを与えたのかを考えています。19世紀にジャポニスムが与えた衝撃についての考察はわかるのですが、それがいつのまにか日本文化の特性そのものになってゆき、〈戦後の日本教育の堕落〉を批判するところまで進んでいってしまいます。〈日本文化〉を農耕文化と規定するところがそもそも縄文は何だということにもなりかねないのですし、(三井さんが批判する〈ゆとり教育〉の時代、小学校の歴史教科書は弥生時代からはじまっていたので、そこも矛盾といえばいえなくもないですが)そうした〈結論〉になってしまうのは、なんだか残念です。