年を経る

古市憲寿さんの『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社+α文庫、2015年、親本は2011年)です。
文庫化に当たって追記や脚注の付加が行われて、おのずと自説の再検討のおもむきもあります。
たしか単行本がでたときに、浅尾大輔さんが書いた書評に対して、河添誠さん(間違っていたらごめんなさい)が批判をしたという記憶があります。いま手元には、その書評はないので、これもおぼろげな感想なのですが、浅尾さんの書評に対しては、〈ここに出てくるような若者こそを自分は書きたい〉という思いが、もう少しはっきり出ていてもいいのではないかという印象を抱いていたように思えます。その点ではやや中途半端で、だから批判を浴びたのではないでしょうか。
今あらためてみてみると、いろいろな社会調査も使い、真剣な分析もあり、おもしろい観点もあります。タイトルだけが独り歩きしたような印象もありますね。