ピンポイント

小林信彦さんの『悪魔の下回り』(新潮文庫1984年、親本は1981年)です。
死を決意した中年男が、悪魔と契約して変身能力を身につけ、若い歌手や編集者、作家をめざすなかで、その業界の暗部に接するという作品です。
面白く読めばそれでいいという作品ですから、内容をどうのこうのというものでもないのでしょうが、初出が1980年の『週刊文春』ということで、当時のはやりものが何気なく登場するところが、35年後の今日ではかえっておもしろくなっているようにも思えます。
文庫の解説が、大岡昇平というのも、時代を感じさせなくもないというところでしょうか。