ちょっと後から

『文学界』10月号に、赤坂真理さんと内田樹さんの対談が載っています。そのなかで、内田さんは赤坂さんの『東京プリズン』を例に挙げ、女性による新しいきりこみだと評価しています。そこで引き合いに出すのが、〈24年組〉といわれた竹宮恵子さんや萩尾望都さん、大島弓子さんなどのマンガ作品なのです。それはそれでいいのですが、内田さんは彼女たちの作品に〈アメリカ〉が一切登場しないことに注目します。
そういわれてみれば、アメリカを舞台にした少女マンガといえば、吉田秋生さんの「カリフォルニア物語」や渡辺多恵子さんの「ファミリー」、成田美名子さんの「CIPHER」(つづりが怪しいのですが)あたりが思い浮かぶのですが、吉田さんが1956年、成田さんと渡辺さんが1960年生まれと、世代的にいって、竹宮・萩尾よりも少し年下の人たちです。その意味では、内田さんの提起には道理はありそうです。
ただ、内田さんも赤坂さんも、成田・渡辺作品のことをころっと忘れている(まったく知らないとは思えないのですが)のは、どうかとも思いますけれど。