先取り

桐生悠々畜生道の地球』(中公文庫、1989年、親本は1952年)です。
1933年の「関東防空大演習を嗤う」をはじめとして、1930年代に彼が刊行していた雑誌『他山の石』に載せたコラムを集めたものです。
防空演習が必要になるとは、「敵」の飛行機が東京を襲うという設定なのだから、それ自体が無意味であるし、灯火管制をしても、爆弾は落ちてくるし、そのうち赤外線もつかえるようになれば、ますます灯火管制の意味はないと、その後の展開を予測したようなことばがつづきます。
ほかの文章にも先見性はたくさん認められます。というより、ていねいにものを考えれば、おのずと結論は出るのかもしれません。そうした細心さが、今も必要なのかもしれませんね。