ふたまわり

『東学農民戦争と日本』(中塚明、井上勝生、朴孟洙、高文研、2013年)です。
日清戦争の口実にされた東学農民軍を、日本軍がどのように弾圧したのかを、当時の記録や現在の調査にもとづいて明らかにしようとしたものです。
朝鮮の民衆運動にしても、台湾の抵抗運動にしても、日清戦争のときの日本軍が、こうした民衆のたたかいの鎮圧に大きな力を割かれていたことは、もっと知られなくてはいけないのでしょう。井上さんは、東学農民軍と戦った日本軍が、四国から召集された兵隊であることを明らかにし、さらには、その戦闘での戦死者が、徳島県出身の兵士で、故郷には親族が建てた忠魂碑があることもつきとめます。けれども、靖国神社は、その兵士の戦死の日時をごまかし、農民軍との戦いではなく、清国との正規の戦いで亡くなったとして靖国に祀ってあるのです。
このように、戦争の実態をねじまげて、〈顕彰〉するのが靖国神社なのですから、そうした施設におまいりをすること自体が、意味することは明白でしょう。
今年は甲午の年ですから、ちょうど120年、干支ふたまわりぶんです。