先は長い

〈コレクション戦争と文学〉(集英社)の別巻『〈戦争と文学〉案内』です。
評論家による時代別の概説と、アンソロジーに収録できなかった長編作品の紹介、それと、1893年から1989年までの戦争文学年表が収められています。
これだけの作品をまとめたということでの業績は、評価されるべきでしょうが、やはり不満は残ります。たとえば、長編作品の紹介で、なぜ『甲乙丙丁』がはいるのか、よくわかりません。それでいて、霜多正次の『道の島』も、窪田精の『夜明けの時』からはじまる三部作もでてこない、というのも考えてしまいます。
年表のほうも、たとえ本編への収録はできなかったにせよ、森与志男の「足並みそろえて」(『文化評論』1981年11月号)くらいは年表上に存在をいれてほしかったとか、のぞみをいえばきりがありません。
そうした作品もきちんと位置づけたアンソロジーや概論を、出していかなければならないのでしょうね。