へだたり

岩波文庫の『日本近代短篇小説選』(全6冊、2012年から13年)を、年代順に読んでいます。明治篇の最初は、文語文もあるので、旧かなづかいのままですが、明治篇の2冊目からは現代かなづかいに直しているとか、明治・大正篇には注解があるとか、時代の変わり目で、小説じたいも変わっていく姿がみえてきます。
ただ、昭和篇にしても、発表から60年くらい経つ作品が多いのですし、特に戦争や軍隊を描いた作品には、注釈をつけてもいいのではないかとも思います。集英社の『コレクション戦争と文学』のシリーズには作品ごとに注がついていましたし、何かしらの配慮があってもいいのではとも思います。この文庫本が、今後版を重ねるのならば、ますます作品の時代とのへだたりがあらわれるのですから。