用意周到

14日の夜に放映されたNHKの〈従軍作家〉を扱った番組ですが、火野葦平に焦点をあてるというところで、戦後のことなど注文もなくはないのですが、大東亜文学者会議で声明をよみあげる横光利一の映像など、けっこう努力してつくった番組だとは思いました。
大学生の子どもと見ていて、「麦と兵隊」だの「生きてゐる兵隊」だの、「戦線」だのが、家にもあるぞと話しながら説明していたのですが、東南アジアへの文学者の派遣のところで、「軍は1941年の11月ころからかれらを船に乗せて南方に送っていて、12月8日は南シナ海で迎えたのだ」と話をすると、おどろいていました。戦争がはじまってから召集されたと思っていたのでしょう。
高見順の『昭和文学盛衰史』にいろいろとそのへんの記述があって、太宰治も呼び出されたが、身体検査ではねられたとかいうエピソードも紹介されているのですが、番組でも、少しそのへんは事前の準備があったことなど言及されてもよかったかなとは思いました。