大きなものへ

新船海三郎さんの『不同調の音色』(本の泉社)です。著者の安岡章太郎論と、安岡氏へのインタビューで構成されています。
いわゆる〈第三の新人〉といわれる一群の作家たちは、戦争の時代をくぐりぬけて、そこで時代をつくりだしたものと立ち向かってきました。そのなかでも、安岡さんは、歴史のもった意味について考えてきたといえるのでしょう。新船さんは、そこをつかまえて、安岡氏の文学を考えています。
小著ではありますが、作家の大きなすがたに向かおうとする意識がよく出ているものだといえるでしょう。