流言蜚語

井形正寿さんの『「特高」経験者として伝えたいこと』(新日本出版社、2012年)です。
著者は、1945年のはじめころから、大阪で特高警察の一員として勤務し、終戦時に在籍していたために公職追放となったという経歴の持ち主で、そのことを語り部として伝えようとした方です。
この本では、そうした経験談とともに、当時の「証拠物品」として押収した不穏な文書なども収録して、時代の雰囲気を伝えようとしています。
その文書の内容は、けっこういい加減で、1942年の段階で、長門陸奥も沈没したとか、日本空襲は実はデマだとか、そうしたものも含まれています。情報をきちんと公開しないと、かえって歪んだものになってしまうという例だと考えてみるといいのかもしれません。