南と北

外間守善『沖縄文学の世界』(角川書店、1979年)です。
著者は、沖縄戦のときに、学徒兵として参戦した経歴をもち、戦後本土に渡り、研究者としていきてきました。そのとき、國學院大學に学び、金田一京助から沖縄ことばを研究しなさいというアドバイスを受けたのだそうです。
金田一といえば、知里幸恵に『アイヌ神謡集』の翻訳出版を勧め、みずからも岩波文庫の『ユーカラ』を翻訳しています。
日本列島に生きる、さまざまな文化をもった人びとの生活と歴史を見すえようという、大きな視野にたつことで、この列島に住む人びとのありようをつかむということの大切さを体現してくれたのでしょう。
そのおかげで、列島文化の多様性を知ることができるわけです。どこぞの議員さんのような、偏狭な歴史観や民族観をまつりあげるわけにはいきません。