妹の力

といっても、柳田国男ではありません。
小路田泰直さんの『邪馬台国と「鉄の道」』(洋泉社歴史新書、2011年)です。
なぜ奈良盆地南部に「都」がおかれたのかと、著者は考えます。そこが列島の中心にあたる土地であることを、交通路の論証などを通じてあきらかにします。そして、卑弥呼が共立されたことと、その後の王権がどのようにして権力をつなげるようにしたのかも語ります。八幡神のヒメ神が卑弥呼であろうと、著者は論じます。「女性である」ために統合の象徴とされることが、このくにの歴史にとって、何かあるたびに召喚されてきた(北条政子もそうです)というのです。そして、国の中心たるヤマト盆地南部の「記憶」と、産業の中心地に「都」をおこうとする「権力」とのひっぱりあいが続いたのだというのです。

なかなかおもしろい着眼点で、その伝で言うと、戦後日本を救った「女性」は、正田(旧姓)美智子さん、ということにもなるのでしょうか。