客観的に

原武史さんの『団地の空間政治学』(NHKブックス)です。
この前、原さんの『レッドアローとスターハウス』について触れましたが、そこでは書かれていない、西武沿線以外での団地のありようを中心にしています。そのため、鉄道の話と言えば、常盤平団地ができたころの新京成電鉄が、劣悪な状況であったといことくらいでしょうか。
ここでは、原さんは、『滝山コミューン一九七四』や『レッドアロー…』にみられたような著者の私体験を排して、学者としての冷静な筆の運びを心がけているようです。それだけ視野も広くとれているような感じもあります。常盤平エリアには私的な思い出もいろいろあるので、今度はこちらが私的に読んでしまっているのかもしれません。むかしは、団地内の路線バスも、五香駅から常盤平駅まで走っていた(「星型住宅前」という名前のバス停もありました)のですが、今はなくなってしまっているようです。
あの時代をふりかえるには、考える素材になるものでしょう。