似姿

黒田日出男さんの『源頼朝の真像』(角川選書、2011年)です。
夏に奈良博で頼朝の特別展があったのですが、そこにも出展された甲斐の善光寺の頼朝像が、没後まもなく政子によって作成されたものだという論証をしたものです。
奈良博には神護寺の伝頼朝の画も出展されていたので、ある意味では見比べるというめったにない機会でもあったわけで、どれが似姿かと思うと、よくぞ伝わってくれたというところです。黒田さんの論に拠れば、この像は火災にあったお寺から、頭部だけが救い出され、あとで(像がつくられてから約100年後の14世紀初頭)胴体部分が補修されたとのことです。
黒田さんは、専門家に、この像から推測される、頼朝のすがたを(50歳くらいのころだそうですが)復元してもらって、その画像もこの本に収録されているのですが、なにやら、かつての大河ドラマで頼朝を演じた中井貴一さんに似てなくもないという感じです。