ごちゃまぜ

原彬久さんの『岸信介』(岩波新書、1995年)です。
岸が若いころに北一輝にひかれていたことだとか、『満洲国』時代に〈濾過器〉を経たと思われるあやしいおかねを存分に使える立場にいたことなど、なるほどと思わせるエピソードもけっこうあるのですが、戦後、公職追放が解除されて、政界に打って出ようとしたとき、一時期右派社会党への参加を真剣に考えたということには驚きました。もちろん、保守合同自民党がうまれる前のことですが、社会党も岸にとっては同じ穴のむじなのように見えていたのですね。〈オール与党〉体制が生まれる流れは、戦後、ずっと昔からあったということなのでしょう。