いつであっても

小縄龍一さんの『夕張の郷』(民主文学館)です。
作者はながく夕張の炭鉱ではたらいていた方で、1981年の事故をきっかけに、本格的に書き始めたようです。
いろいろな時代の、夕張を中心にした北海道のさまざまな事情を書いたものがおさめられています。なかには、根室での戦時中の飛行場建設と、そのなかで発生した発疹チフスの流行の中で努力する医師群像を描いたり、明治の国事犯を北海道に送り込み囚人労働をさせた話であったりと、近代日本の闇の部分にもきりこんでいます。
どの作品にも、人間らしくいきるための苦闘が描かれ、決して人は泣き寝入りをするのではないのだということを、考えさせてくれます。