ジャンルの特性

『新潮』の4月号で、震災後の動きに関してのアンケート特集があるのですが、その中で、よしもとばななさんが、萩尾望都さんの作品をあげています。たぶん、これだろうとおもうのが、『なのはな』(小学館)です。
表題作は、福島の事故で避難を余儀なくされている一家の〈いま〉を描きます。チェルノブイリとフクシマを重ね合わせて、主人公の少女の心象風景が描かれます。マンガの表現が、こうした心象風景や、時空を超えるような関連を印象づけます。
それと、プルトニウムを擬人化した「プルート夫人」は、半減期24000年のプルトニウムが、人間世界がなくなっても残ることを、プルート夫人は若さを保つも、人間たちが老い衰え、町が廃墟になることで表現します。
こういうふうに、さまざまなジャンルの表現者の人たちが、自分のフィールドで進むことが必要なのでしょう。

ただ、単行本収録にあたって加えられた書下ろしの「なのはな―幻想『銀河鉄道の夜』」のなかの、〈ひかりの素足〉のイメージには、好き嫌いが分かれるのではないでしょうか(あの作品自体がどうも好きになれなくて)。