急転換

柴田政義さんの『人民民主主義の史的展開』(全2冊、大月書店、1975年)です。
東欧5カ国(ポーランドチェコスロヴァキアハンガリールーマニアブルガリア)の、第二次大戦後に成立した政権の、成立過程を追ったものです。
今となっては、過去のものといえるのかもしれませんが、曲がりなりにも40年ほどその国を統治してきたことは、消すわけにはいきません。いずれも、当時のさまざまな勢力の角逐のなかで生まれた政権を、生み出した側からの視点でみることも必要でしょう。
だが、この地域にできた政権が、最初は諸勢力の連合であったものが、あっという間に1党支配体制になってしまったのはなぜなのか、そこはこの本ではあまり触れられていないことなのですが、今は考えなければなりません。〈寄らば大樹〉〈勝ち馬に乗る〉という発想を人はしてしまうのか、それも人間のさがなのか、まだまだ人の心の動きは、解明されたとはいえないのかもしれません。