読みこみ

『日本文学報国会 会員名簿』(新評論、1992年、1943年版名簿の復刻)です。高橋新太郎さんの別冊解説が付されています。
文学報国会の問題は、宮本百合子が戦時中にアンソロジー(刊行されなかったようです)に自分の作品を収めるかどうかで、獄中の宮本顕治とそうとう厳しいやりとりをしたことでも、最近またクローズアップされています。また、新船海三郎さんの今回『民主文学』に発表した武田麟太郎についての論考では、武田が報国会の会員ではなかったことが触れられていて、いろいろと複雑な事情があったことをうかがわせます。
やっとこの復刻版を入手できたので、いろいろとめくってみると、本当に大きく網をかけたという感じで、〈外国文学部会〉のところには、武田泰淳寺田透中村真一郎福永武彦(冬木元の名前で出ています)というような名前がみえるのです。(加藤周一はないようです)ほかにも意外な名前があったりなかったりするかもしれません。
こうした、戦時下の状況をきちんとみておかないと、これからの状況にもかかわってくるのではないかとも思います。いやな想像はしたくありませんが。