多様さは

ゆっくり読んでいた、『戦後文学論争』(全2冊、番町書房、1972年)です。
下巻は、1960年代前半の、「純文学論争」と「戦後文学論争」でしめくくられています。この時代は、安保闘争のあと、新日本文学会が完全に国政革新の路線から離反しようとした時期ということもあり、そうした文学者への批判と揶揄に満ちています。その点では、〈論争〉参加者の多くが共通しているのではないかとも思えるのです。
それもまた、時代の証言でありますし、その人たちの文学に対する感覚を認識すればいいのですから、そうだったのかと考えながら読んでいけばいいのですが、それだけに、こうした〈論争史〉にとどまらない、文学史の構築も今、求められているのではないかとも思うのです。
やらなければならないことは、たくさんあるようですね。