インフラ

片倉佳史さんの『台湾鉄路と日本人』(交通新聞社新書、2010年)です。
台湾を日本が領有したときには、ほとんど鉄道が走っていなかった台湾島に、開発の目的で日本は鉄道を敷設します。砂糖の輸送のための鉄道や、山岳地帯から材木を運ぶための森林鉄道などもありました。その施設の中には現在も現役で使われているものもあるそうです。
朝鮮のように、きちんとした国家があったところとはちがい、台湾は未開発のところが多かったようです。ですから、支配者のものでも、使わないわけにはいきません。日本側の都合でだけつくられたような、トロッコ鉄道はさすがに姿を消しているようですが、南北縦断線や山岳鉄道のような路線は、役にはたつわけです。だからといって、日本が〈よいことをした〉とは単純にはいえません。その難しさを引き受けなければならないところを、自覚しなければならないのでしょう。