欠かせない

文芸誌を読みながら、少し考えたのですが、教師と生徒・児童とがきちんとかかわりあう姿を描く小説は、『民主文学』以外には最近ほとんど見かけないようにみえます。柴垣文子さんの作品でも、渥美二郎さんのものも、松本喜久夫さんのものも、佐田暢子さん(連載中ですが)も、それぞれの立場から、教師と子どもとのかかわりあいが描かれています。そう、昔は森与志男さんや平瀬誠一さんの作品もありました。
子どもたちの世界は当然世界としてあるのですし、おとなとしての教師の生活も自立したものとして存在します。けれども、そこが重なり合いながら影響を与え合うところに、学校という場の不思議さがあるのでしょう。鹿島田真希さんの『来たれ、野球部』(講談社かな、初出は『群像』でした)は、その点では珍しいほうかもしれません。