熱気

加藤文三さんの『川合義虎』(新日本新書、1988年)です。
関東大震災のときに、〈不逞××〉が暴れているというデマが流され、戒厳令も発令され、軍隊が出動していったときに、当時の東京府下亀戸で虐殺された労働運動家の生涯を追った研究です。1920年代の労働運動の高揚は、労働者階級の党をうみだしますし、青年運動も動き始めます。1923年の9月2日には、〈国際青年デー〉にあわせた行事も企画されていたそうです。実際、京都では谷口善太郎が中心になって、ともかくも集会を開いたとか、群馬でも9月1日に記念集会をおこなうことができたとか、そうした全国への広がりがあったのだそうです。
それだけに、中心地と目されていた南葛飾郡の運動が、天災を奇貨として、弾圧されたということになるのですね。1933年の三陸津波のときも、救援にはいった人びとが弾圧されて、当局とマスメディアによって逆宣伝されたそうですが、そういう体質は、すでにこのころにあらわれていたのですね。