スケール

川上紳一さんの『宇宙137億年のなかの地球史』(PHPサイエンス・ワールド新書)です。
こうした本を読むたびに、人間の営みが、とてもわずかな時間のなかで行われていると思うのです。今の季節、明け方にオリオン座がよく見えて、ペテルギウスの赤がくっきりとみえます。赤色巨星は、いずれは超新星爆発を起こすのですが、ペテルギウスが爆発すれば、とても明るくなるのだろうなと思いながら眺めているのですが、さて、その「いずれ」がどのくらいの先か、人間の生涯のスケールでははかれません。
宇宙から地球へと本はすすみ、最後には地衣類という生物の話になるのですが、古い墓碑などに地衣類が生息するには、少なくとも50年、多様なものが生じるには200年くらい人が触らないことが必要らしいのです。それだけの時間をかけてつくられてきた地球の生態系を、ヒトは手をつっこんでいるのです。そうしたことを自覚して、生活をしなければならないでしょう。