家の仕事

川尻秋生さんの『平安京遷都』(岩波新書、シリーズ日本古代史のうち)です。
9世紀から10世紀前半ごろまでの時代をあつかっています。
各地で地震がおこり、火山は噴火するなどの自然災害も多い時代ですが、その中で、東北地方を支配下におさめていくなど、日本の領域がひろがっていきます。それとともに、いろいろな国家の機構が整備される中で、職種が特定の家に集中する傾向があらわれはじめます。
武士という仕事も、その一環であると著者はいいます。個人的に武勇にすぐれていても、それだけでもののふとはいえないのだそうです。河内源氏伊勢平氏とが武士として認められるのは、将門の乱を収拾したからだというのです。秀郷流藤原氏も、鎮守府将軍としてみちのくの地で生きることが、のちの平泉につながる流れになります。
将門といえば、今も東京大手町の首塚には力があるのだということで、容易に手をつけることのできない地域になっているようですし、神田明神が江戸のまちを守っているという形も続いているようです。
その意味で、将門の事件は、今も続いているといえるのかもしれません。