気まま

『日本原発小説集』(水声社)です。
その中の、豊田有恒「隣の風車」(1985年の作品のようです)は、原発が開発できないまま、火力発電ができなくなり、各自が自分の家に風車を建てるようになってからの混乱を描いています。家の立地によって発電量も差がでて、主人公の家ではテレビも映りません。あげく、近所に大きな風車を持つ家があらわれ、ますます軋轢が高まります。
今回の事故の後、「発送電を自由化すべし」という論が一時期出ましたが、その行く末を予測させるような作品です。規制緩和が単なる強者の支配にしかならないありようを、SF作家らしくとらえたというべきでしょう。

鳴戸親方が急逝されたとか。とりあえずは若島津の部屋が預かるというかたちになるのでしょうか。一代で築いた部屋ですから、後継者もいませんし。