三つの春

ちくま学芸文庫の『ロラン・バルト 中国旅行ノート』(桑田光平訳)です。
バルトは、1974年の4月から5月にかけて、中国を訪問したのですが、そのときの記録だということです。かれは、結局この経験を本にはしなかったようなのです。
この時期の中国といえば、1975年のこのころに訪中団の一員として参加した石川淳の記録、「北京独吟」(『前賢余韻』(岩波書店、1975年)収録)を思い起こしますし、その直前に訪中した大相撲中国公演一行の記録、『裸大使とパンダの国』(ベースボール・マガジン社、1973年)も連想します。
文化大革命末期の中国の、微妙な世界をそれぞれの切り口で切った、これらの記録は、今となっては貴重なものかもしれません。
このあと、中国は康生・周恩来朱徳毛沢東と続々と要人が死去して、いろいろとあるのですが、その直前だったのですね。