負け戦

ソビエト政権時代のロシアの作家、ファジェーエフの『若き親衛隊』(黒田辰男訳、青木文庫、全5冊、1953年)を読み始めました。
作者は、スターリン時代に権勢をふるったということで、最近はまったく人気のない作家ですが、1920年代に書いた「壊滅」は、黒澤明の「七人の侍」のヒントになったとかで、それで有名なのかもしれません。
この、『若き親衛隊』は、1942年、昨年一度はモスクワ前面から退却したドイツ軍が、再びバクー(石油産地です)方面に進攻する途中での、ドイツ軍に占領された地帯での抵抗運動を描いたものです。実際には、スターリングラードでドイツ軍の前進がストップされ、長期の攻防戦にはいるのですが、その後方の状況を描くようです。(まだ文庫本の2冊目を終わったところですから)
ファジェーエフは、やはり、文学者として、きちんと読まれるべきでしょう。彼の代表作が、負ける状況の中で、最善をつくす登場人物であることは、決して彼の評価を落とすことではないと思います。そこも含めて、ソビエト政権時代は、ちゃんと認識しなければならないでしょう。