横断

前に、古書店で手に入れた(通販ではなく)『綜合プロレタリア芸術講座 1』(内外社、1931年5月)です。
そろいものではないと判断されたのか、けっこう安価で入手できました。
中野重治が巻頭で「プロレタリア芸術とは何ぞや」という論文を書き、中條百合子が「ソヴェート文壇の現状」、徳永直が「小説作法」、村山知義が「戯曲論」、岩崎昶が「アメリカ映画発達史」、須山計一と松山文雄が「プロレタリア漫画の研究」というように、当時の芸術の各ジャンルごとに、社会変革の動きに連動した文化運動のいわば最前線というような内容です。伏字はやむをえないでしょうが、こうしたものがきちんと刊行されていたところに、当時の状況もあったのでしょう。〈満洲事変〉前は、けっこうそうした活動もできたのではないでしょうか。
いまは、それぞれの分野でいろいろな理論的な面が深められているのでしょうが、こうした諸ジャンルを横断するような企画がもっとあってもいいようには思います。