流れて

太宰治『ろまん燈籠』(新潮文庫、改版2009年)です。
新潮文庫での、太宰のいままでの作品集からもれていた中で、戦時中の作品を中心に収めていて、「十二月八日」とか、「散華」とか、戦争を扱った作品もはいっています。戦時中に、どういう形で太宰が作家として生きてきたかを考えるのには、けっこう重要なもののようです。
これらの作品には、作者が主人公と一体化しているようなものもあって(「散華」には戸石泰一さんがそのものずばり〈戸石君〉として登場します)、そこも興味深いものです。ただ、なんだかイメージが、「純情きらり」で西島秀俊えんじたイメージになってしまっていて、「雪の夜の話」など、語り手がまるで宮崎あおいのような感じで読んでしまいました。
へたにいろいろと考えるのは、かえってよくないようです。