みこしをかつぐ

中里成章さんの『パル判事』(岩波新書)です。
極東軍事裁判のとき、インドから判事としてやってきて、少数意見を固持した人の、略伝です。
たしかに、すごい人で、極東裁判での、被告無罪の要因として、「中国共産党は中国を破壊する存在だから、中国に権益を持つ国が武力介入してもそれは侵略ではない」と受け止められる論理を展開したのだそうです。さすが、安倍晋三さんが、最高首脳として、インド訪問のおりに、遺族を訪ねたというのも、そこを読むともっともな感じがします。
戦時中も、パルさんは、チャンドラ・ボースと交流があったそうです。ボースといえば、彼がナチスドイツから日本に渡り、イギリスに反旗をひるがえしたときも、日本はかれらを使い捨てのコマのような扱いをしたとか。
日本におけるパル人気も、きっと汪兆銘チャンドラ・ボース的なものなのかもしれません。