手が回らない

リービ英雄さんの『我的中国』(岩波現代文庫)『天安門』(講談社文芸文庫)、莫言の『牛・築路』(岩波現代文庫、菱沼彬晃訳)と、中国関連のものをつづけました。都市部の発展だけではみえてこない、中国の農村のそれぞれの事情が、作品としてあらわれています。
大躍進時代の土法製鉄にしても、文革時代の赤脚医生にしても、発想そのものには、ある種の理想があったのだとは思います。けれども、どちらも、質の問題で失敗においこまれたのだと考えると、そうした理念をのみこんでしまう、中国の深さも気にかけなければならないのでしょう。一方的な観点からみないためにも。