世代差

黒井千次さんの『時代の果実』(河出書房新社、2010年)です。
単行本未収録のエッセイを集めたものですが、戦後の回想や、亡くなった作家の思い出など、いろいろと多岐にわたっています。
黒井さんは、私の父親と同じ歳で、勤務していた会社も自動車関係ということで、なんとなく近いものを感じていたのですが、最初にそういうことを知ったときには、黒井さんは、〈父親世代〉を代表するような形でした。いまや、老人世代を代表するような形になっていることは、当然われわれの世代、福田和也島田雅彦が〈父親〉として振る舞わなければならないということにもなるでしょう。そう思うと、一瞬、引いてしまう感じがするのも、今の時代なのでしょうか。