守るべきもの

小金井喜美子『鴎外の思い出』(岩波文庫、1999年、親本は1955年)です。
鴎外の妹で、人類学者の小金井良精に嫁いだ方ですね。星新一の祖母ということでご存知の方もいらっしゃるでしょう。
鴎外に限らず、当時のいろいろなできごとの回想でもありますし、刊行が戦後ですので、戦時中に文献を疎開させた記事もあります。
ある程度の生活ができる家庭を守るということが、彼女たちにとっての大切なことであり、そこに彼女は力を注いだのでしょう。最晩年の穏やかさが、あちらこちらから浮かんでくるのですが、そこを考えなければなりません。