利用

足立正恒さんの『現代の反動思想と観念論』(新日本出版社、1989年)です。
1980年代前半の、いわゆるポスト・モダンの思想への批判が、けっこう力を入れています。
浅田彰の『構造と力』とか『逃走論』などが俎上にあがっています。
もちろん、浅田さん自身の考え方は、変化もあるのでしょうが、当時の〈束縛から逃れる〉という考え方が、非正規雇用の拡大を弁護する役割をはたしてしまったのではないかという思いは消せません。その点では、権力に利用されたという点を無視することはできなように思います。