ますます深く

大城立裕さんの『普天間よ』(新潮社)です。
沖縄の戦闘を描いた作品と、書き下ろしの現代を描いた表題作をあわせた短編集です。大城さんは、上海の東亜同文書院に在学していて現地で召集され、沖縄戦のときには沖縄にはいなかったので、これらの作品は、体験にはもとづいてはいません。けれども、戦場になった沖縄の状況を、さまざまな側面から描いています。表題作も、かつてみずからが住んでいた土地が、普天間の基地として接収されてしまった女性を中心にして、いまの沖縄をとらえようとしています。
地震で注目されてはいないのですが、辺野古に基地をつくろうというたくらみは着々と進んでいるようで、そうしたことを見逃してはいけないぞというメッセージとしても、この本の出版は大事なことだと思えます。