力を抜く

回想記『「近代文学」創刊のころ』(深夜叢書社、1977年)です。
雑誌『近代文学』創刊30年を期して、当時の関係者に寄稿を依頼したものを、埴谷雄高が取りまとめ役になって本にしたものです。ですから、みなさんけっこう勝手なことを書いていて、そちらのほうが興味深かったりします。福永武彦は、当時加藤周一中村真一郎と企画していた雑誌(欧米の新文学を紹介する意図もあったのでしょうか、なんと横組みで出そうと考えていたようです)のプランを長々と書きつけています。原稿を送ってから本になるまで時間がかかったらしく、武田泰淳竹内好など、寄稿したものが遺稿となってしまった方もいるようです。
当時の状況を知るには、時にはこうしたものもいいでしょう。