朕の命令

オーウェルの『1984年』にこんな場面がありましたよね。
主人公の勤める部局で、いままで敵対していたB国と手を結び、同盟していたC国と敵対することになったので、それまでの公的資料をすべて〈B国と以前から同盟していて、C国と敵対していた〉と書き直す、というところ。
大阪府が、職務命令に従うのは当然だからと、公立学校での教職員の行動にわくをはめる条例を決め、それに対して知事が〈組織のマネジメントの問題だ〉とインタビューに答えていたのを見て、オーウェルの世界を思い出しました。
次に連想がいったのが、『私は貝になりたい』で、人道的におかしなことでも、上官の命令だということで、執行にあたった兵隊が処刑される話です。
マニュアルどおりの対応を最初していて、非難されたケースで目に新しいのが、北海道の列車火災事故ですね。軽々しく乗客を列車の外に出さないという規程のとおりに避難誘導しようとしていたが、乗客がそれを破って自主的に避難したので、死者が出ないですんだのですね。結果オーライということでいいのでしょうか。
マニフェスト選挙をあおっていたひとたちが、マニュアル社会を批判するのは、筋が通らないと思うのですが、いかがでしょうか。
府知事で言えば、〈自分の意見が通らないなら、多数派になるようにすればいい〉というようなことを言っていたようですが、それなら、公務員は自分の支持する人たちを多数派にするために政治活動をやっていいということになりますよね。発言自身が自己撞着しているようです。