参入

『群像』の匿名コラム欄は、「侃侃諤諤」というタイトルです。けっこう長く続いていて、ある意味、『群像』の名物といっていいでしょう。
この7月号ですが、文芸家協会とペンクラブの話題です。いつもはパロディやくすぐりの多いこの欄なのですが、けっこうまじめにそうした作家団体の現状と、そこの業務に時間を割かれる文学者たちのことを考えた文章になっています。文芸家協会の雑務によって、なかなか本業のほうで活躍できないのではないか、という観点は、たしかに懸念材料ではあるでしょう。
でも、考えようによれば、そうした組織の日常業務にたずさわる人がそれまでやっていた仕事を、こんどは引き継ぐ新しい書き手が現れる可能性があると思えば、そうした任務も決して悪いものではないでしょう。それによって、次の時代に文学の流れが続いていく、世の中というものはそうして流れていくのではないでしょうか。
そう思えば、今は一つのチャンスかもしれません。民主文学にも、新しい書き手が登場する機会はふえてゆくのではないでしょうか。チャンスの神様には前髪しかないとはよく言われますが、あとからもったいなかったということのないように、動いてほしいものです。