軌跡

『三菱もうひとつの素顔』(日本共産党三菱長崎造船所委員会、2009年)です。
三菱長崎の歴史を、日本共産党の立場から、企業の圧力に屈せずたたかった人たちの姿に焦点をあわせて記されています。
三菱長崎は労働組合が、労資協調の組合が分裂して結成され、さらに新左翼のグループが第三組合までつくるという、むちゃくちゃな分裂策動が行われた職場なので、それだけに、労働組合の旗をまもることも大変だったことでしょう。

中里喜昭さんの作品を、むかしからよく読んでいたので、この本に記された1950年代末から65年の組合分裂のあたりまでのできごとは、『分岐』や『ふたたび歌え』に登場するあれこれのできごとのモデルだったのかとも思うと、なるほどと思うところもあります。中里さん自身も、記述の中に何回か登場します。今の中里さんは、こうした立場とどんな関係になっているのかは知りませんが、それも歴史のなかのできごとなのでしょう。

この手のものには、なかば非売品的なものもあるようですが、きちんとISBNコードがうたれているのはいいことです。(ISBN978-4-9904776-0-8)