所在不明

パブロ・ネルーダ『二〇〇〇年』(吉田加南子訳、未知谷、2010年)です。
1973年、アルゼンチンの出版社の人に、作者自ら原稿を渡し、死後出版されたという作品だそうです。
かつて『ネルーダ最後の詩集』というタイトルで出ていたニクソンをはじめとするアメリカ帝国主義批判の詩集よりは、この作品は、未来を志向した、新世紀に少しは世の中もよくなっているだろうという感覚があらわれています。
作者は、9月11日の人民政府崩壊後の弾圧の中で生涯を終えるのですが、まだまだ知られるべきことは多いようです。
ただ、この本の最後に、著作権者と連絡がとれないという記述がありました。弾圧の傷は、そこにもあるのでしょう。