時のたつまま

『極東セレナーデ』の話を、もう少し。
1985年から86年が作品の中を流れる時間なのですが、やはりそこには、25年という差を感じるところもあります。
主人公が主演をした映画が公開されるとき、その観客動員の判断基準のなかに、〈立ち見が出た〉というのがあるのですね。シネコン隆盛の現在では、ほとんど不可能になった映画の観覧形式です。
たしか、子どもをつれて池袋にいったとき、水族館の帰りに、角川の『恐竜物語』(でタイトルはよかったのかな。たしか安達祐実が出ていたはずですが)を、途中から立ち見で入場したおぼえがあります。さて、何年のことでしょうか。
それと、肝心要の、『日本の原発は安全』というキャンペーンに主人公が登場させられることになり、それを土壇場で拒否するためにスキャンダルを仕組むという、ストーリーですが、その〈スキャンダル〉が、主人公が育ての親である芸能プロダクションの人とシティホテルから手をつないででてくるところを写真週刊誌に撮らせる、というのも、いまだったら笑い飛ばされるのではないでしょうか。上戸彩にしても、相武紗季にしても、別にそれがどうしたというところがあるように見えます。
それにしても、前にもいいましたが、2010年の原発以外による発電供給量が、ほぼ1985年の全電力需要と等しいのですよね。これをどう考えるのかが、ひとつの分岐点のような気がします。