百回忌

きょうは石川啄木の命日だそうです。1912年に亡くなったのですから、仏教的な数え方だと、ちょうど百回忌にあたるわけですね。
啄木の詩でもと、岩波文庫の『啄木詩集』(1991年)など、めくってみると、初期のころの作品に、日露戦争のときに、旅順港外で日本軍が敷設した機雷に触雷して戦死したマカロフ将軍を悼むものもあったのですね。第二次大戦のときに、敵将を悼むような詩歌があったのかどうかはよく知らないのですが(例の西條八十のことを考えると難しそうです)、啄木には、そうしたいい意味での公平感覚があったのでしょうか。
あと、最晩年の「飛行機」のように、最先端の科学技術が、人びとの暮らしとどうつながっているのかを問いかける作品があります。もちろん、直接生活の改善に役立つかどうかという観点からだけみてはいけない(そういうふうに言えば、宇宙の研究など何の役に立つのかということになりかねません)のは当然ですが、科学技術が誰のためにあるのかということは、いつも考えなければならないでしょう。
まだまだ、啄木のなかには、おもしろいものが詰まっているようです。