適材適所

高橋伸夫さんの『虚妄の成果主義』(ちくま文庫、2010年、親本は2004年)です。
人が働くには、〈成果に金銭〉で動機付けをするのではなく、〈成果には次の仕事〉で報いるのが、個人にとっても企業にとっても将来をみすえた選択になると、きわめてわかりやすく説明しています。〈成果主義〉といっても、人件費の原資が限られているならば、それは単なる人件費抑制の口実にしかならないというのです。
著者は高校時代、『コモン・センス』と『共産党宣言』を読んで、当時の東側社会には未来がないと直感したという、なかなか〈早熟〉な方ですので、そうした面からの分析には鋭さがあります。

いま、『しんぶん赤旗』に連載されている田島一さんの小説、「時の行路」は、〈三ツ星自動車〉という会社の非正規雇用の労働者のたたかいを描いているのですが、今回の県議選挙で、〈三ツ星〉の工場のある県(2県とも)で共産党がひとりも当選しないという結果になってしまいました。〈小説に書かれて〉ということではまさかないでしょうが、なにやら微妙なものを感じてしまいました。