そんなものか

『すばる』4月号に、井上ひさしに関する座談会が掲載されています。出席者は今村忠純・島村輝・成田龍一小森陽一の4人です。
その中で、最晩年の作『一週間』について語られているところで、小森さんはこう発言します。

 レーニンが初心を裏切ったことを示すことで、第一次世界大戦後の「民族自決」というスローガンがいかにまやかしであったかを痛烈に批判していく。

 〈初心を裏切った〉と、それが前提のように話されています。北村隆志さんが、『季論21』で、この件に関して井上ひさしの〈勇み足〉であることを、ていねいに論じているのですが、小森さん(だけでなくほかの出席者もでしょうか)には、北村さんの論はとどいていないようです。