こんなことまで

大浦ふみ子さんの『歪められた同心円』(本の泉社)です。
表題は、長崎における『被爆者』の方々の中に、行政側による理不尽な区別があることを告発した文章からのものです。
いまの長崎市内でも、原爆投下当時長崎市ではなかった地域の中に、距離的には明らかに被爆地とされるべき場所(米軍が調査用に投下したラジオゾンデの着地点もそのエリアの中です)にもかかわらず、そこで被爆した人は、『被爆体験者』とされ、交付される手帳にも、『被爆体験者精神医療受給者証』と、精神医療以外では適用されないものになっているのです。
行政が、被爆者のわくをできるだけ小さくしようとしていたことは、最近のいろいろな訴訟の中で、変化があるようですが、こうした現状を、放置するわけにはいかないでしょう。
この本が、少しでも前進をつくりだせればいいのですが。